【東大論】「エリートの官僚離れ」は嘘
「エリートの官僚離れ」は嘘
週刊東洋経済 2018年6月23日号 [雑誌](官僚の掟(おきて) 忖度エリートのカネと出世)
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2018/06/18
- メディア: 雑誌
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官僚の人事についてまとめられているので、公務員に興味がある人は必読です。
toyokeizai.net
記事のひとつは電子版でも見られます。
ただ、「東大と官僚」論は、法学部と非法学部で論ずる必要があります。
「東大法科に非ずんば人に非ず」という言葉があるくらい、法学部と非法学部には見えない壁があります。
それでは、文系最高峰の東大法学部の学生はどこに就職しているのでしょうか。
文系最高峰の東大法学部の本当の進路
東大法学部のWEBサイトに卒業生の進路がまとめられています。
ここからわかることを考察していきます。
主要な就職状況をまとめると下記のとおりです。
2010 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
官僚 | 46 | 50 | 59 | 66 | 67 | 82 | 81 |
東大ロー | 78 | 97 | 93 | 93 | 77 | 63 | 71 |
非東大ロー | 60 | 34 | 31 | 21 | 14 | 12 | 7 |
公共政策 | 16 | 16 | 13 | 10 | 12 | 7 | 5 |
金融 | 35 | 40 | 33 | 49 | 48 | 33 | 47 |
官僚
「エリートの官僚離れ」と書かれていましたが、東大法学部から官僚になる人は激増しています。
ただ、計測は困難ですが、「東大法学部の中のトップ層は官僚になっていない」という可能性は確かにあるかもしれません。
しかし、それ以上に、前の記事で述べたとおり、今の時代に官僚になるのは合理的な選択とは言えないので、「エリートのエリート離れ」というのが正確かもしれません。
なぜ官僚が増えたのでしょうか。
理由のひとつとして考えられるのは、「非東大ロー=東大以外の法科大学院に進学する人」が激減していることです。
前の記事で述べたとおり、旧司法試験時代よりも弁護士の特権が失われたということで法曹になる魅力が減少していることのほか、東大ローに落ちたけど東大から格下の慶應や一橋の大学院に都落ちするよりは、東大法学部の学歴を維持して勉強したことを活かして合格できる併願先の官僚に流れているのでしょう。
法曹(弁護士など)
ロースクール進学者と表から明確に読み取れない予備試験合格組を足すと、恐らくまだ法曹が一番人気です。
しかし、合計人数はピーク時から落ちており、減少トレンドがしばらくは続くと思われます。
ただ、弁護士業界は人手不足であり、司法修習生への待遇改善に社会が気づけば、法曹人気の復活の芽もあるかもしれません。
公共政策大学院
東大には公共政策大学院という、法学部と経済学部をくっつけた専門職大学院があります。
東大の就職失敗組の受け皿であり、また非東大法のロンダリングの受け皿として機能していました。
しかし、最近の就職市場は売り手市場になって就職を失敗する人が減ったせいか、進学者が減っています。
金融
リーマンショック後に人気が急落した外資銀行ですが、外資コンサルと同じ働きぶりであっても外コンより給料が高いことが徐々に認知されているのか、人気が上がっていると思われます。
外資系金融について興味がある方は次の本はおすすめです。
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東大に行けば自由に進路が選べるという嘘
東大病としてよく言われますが、東大卒が進むべき進路という固定観念があって、それを自分に当てはめてしまって、弁護士か官僚かという決められた道しか歩めなくなってしまいがちです。
とりあえず東大と言って東大に進学するのは結構なことですが、その後自分のキャリアを描くことは重要です。
東大卒としてとかエリートとして進むべき道に行かなければいけないと洗脳されず、ただ生きたいように生きることを心掛けてほしいものです。気をつけましょう。